エンジニアリング

【プラント設計】規格の名称・概要について解説!

2022-08-04

困っている人

日本ではJISやJPIといった規格をよく目にするけど、海外ではどんな規格が使われているのか知りたい!

こんなお悩みを解決します。

本記事を読んで解決できること

  • 海外のプラントで用いられる規格がどこで出来たかわかる
  • 海外のプラントで用いられる規格の名称とその概要がわかる

本記事ではプラントに適用される各種規格について解説します。

規格には個別のコードがあり、その中で詳細な内容が定義されています。今回は詳細の説明は割愛して、主に欧州や米国で用いられる規格の名称を中心に説明します。

本記事を読んで、ぜひ今後のプラントエンジニアリングに活かしていただければ幸いです!!

規格はその成り立ちで大きく2つに大別される

プラントで用いられる規格は、その成り立ちから次の大きく2つに大別されます

・欧州系
・米国系

筆者の主観です。それぞれご紹介します。

とむ

欧州系

ISO

ISO (International Organization for Standardization、国際標準化機構)、アイエスオー・アイソと読みます。

ISO規格は同機構が制定する国際規格です。167の標準化団体で構成され、様々な分野の規格を網羅的に制定しています。

日本からは日本産業標準調査会 (JISC)が組織に加盟しています。

プラント建設に関して言えば、ISO9001(品質マネジメントシステム)ISO14001(環境マネジメントシステム)、最近だとISO 45001(労働安全衛生マネジメントシステム)でその名前を聞いたことがあるかもしれません。

EN

EN (Buropean Standard、ヨーロッパ規格)、イーエヌと読みます。

ドイツ語でヨーロッパ規格を意味する”Europäische Norm”(European Norm)という単語からその略称がとられています。

EU(欧州連合)の加盟国は、EN規格を国家標準とするように定められています

一般的には、日常使うものにつけられているCEマークのほうが馴染みが深いと思います。このマークはEN規格を満たすものにつけられています。

Conformité Européenne (logo)

引用元 : Wikipedia

BS(British Standard)

BS (British Standard、英国規格)、ビーエスと読みます。名称の通りイギリスで用いられています。

英国規格協会(British Standard Institution, BSI)により定められています。

DIN

DIN (Deutsches Institut für Normung、ドイツ規格協会)、ディンと読みます。同協会が定めた工業規格・ドイツ工業規格(Deutsches Institut für Normung, DIN-Norm)の通称です。

こちらもBSと同様、ドイツ国内での産業に用いられることは勿論、国際的にも広く使われています。

JIS (日本産業規格)と響きが似ていますね。

とむ

IEC

IEC (International Electrotechnical Commission、国際電気標準会議)、アイイーシーと読みます。電気・電子に関連する内容を取り扱う国際規格です。

機械エンジニアがその内容を網羅的に把握する必要は無いと思います。

ただ、IEC60034-30-1 Efficiency classes of line operated AC motors (IE code) (ACモーターに関する効率クラス(IEコード))は購入機器でも要求があるためそのコードぐらいは記憶しておくとよいでしょう。

IEコードについては改めて解説したいと思います。

欧米系

ANSI

ANSI (American National Standards Institute、米国国家規格協会)、アンシと呼ばれることが多いと思います。アメリカ合衆国内における、工業分野での規格の標準化を行っている団体です。

プラント設計に従事するうえで、知っておくべき必須の規格と言っても過言ではないと思います。

ASME

ASME (The American Society of Mechanical Engineers、米国規格学会)、アスメと読みます。アメリカ合衆国における、機械に関する学会です。

ボイラ圧力容器の規格で知られるBoiler and Pressure Vessel Code, BPVCもASMEで定められた規格の1つです。

ASTM

ASTM (American Society for Testing and Materials、米国試験材料協会・アステムと読みます)を前身とし、現在はASTM Internationalがその規格を制定・発行しています。

ASTM A105は炭素鋼(Carbon Steel)、 ASTM A351は316SS, ASTM A182は304SS・・・とそのASTM Codeと適用材料の内容がぱっと思い浮かぶようになってきます。

API

API (American Petroleum Industry、米国石油学会)、エーピーアイと読みます。

9石油に関する規格を定めています。

API 5L(石油・ガス輸送用パイプラインに関する規格)や、API 610(石油・ガス向けの遠心ポンプ)などが有名かと思います。

日本では自動車向けのエンジンオイルのグレードを示す一つの規格としてAPI規格が用いられているようです。

NFPA

NFPA (National Fire Protection Association、米国防火協会)、エヌエフピーエーと読みます。

米国を拠点とする、防火に関する非営利組織です。

火災や電気に関連する危険による死亡、負傷、財産および経済的損失を無くすことを目的として運営されています。

IEEE

IEEE (Institute of Electrical and Electronics Engineers、米国電気電子学会)、アイトリプルイーと読みます。通信に関連する規格を定めています。

Wi-Fi(無線LAN)の規格で用いられる、IEEE 802.11は一度は耳にしたことはあるのではないかと思います。

NEMA

NEMA (National Electrical Manufacturers Association、米国電機工業会)、ネマと読みます。

米国内における電気機器製造事業者の団体であるNEMAによって定められた規格です。

Motor Service Factor (NEMA MG-1)や、IP Ratingに相当するNEMA保護等級(NEMA 250)等を定めています。

「Motor Service Factorって何?」と思ったアナタはぜひこちらの記事もご参照ください。

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AWWA

AWWA (American Water Works Association、米国水道協会)、アワと読みます。

水質や水供給といった水にまつわる課題を解決するために設立された、世界最大の非営利組織です。

おまけ:日本のプラントで用いられる規格

日本国内のプラントで用いられる規格についても簡単にご紹介します。

前述した欧州系あるいは米国系の規格が適用されることも勿論あります。

JIS

JIS (Japan Industrial Standard)、ジスと読みます。

産業標準化法に基づき制定される、我が国の鉱工業品、データ、サービス等に関する国家規格です。

2019年に工業標準化法が産業標準化法へ変更されたのに伴い、名称も日本工業規格から日本産業規格へ変更されました。

JPI

JPI (The Japan Petroleum Instotite、日本石油学会)、ジェイピーアイと読みます。

日本国内における、主に石油・石油化学工業用の装置に関連する規格を定めています。

JEC

ジェックと読みます。一般社団法人電気学会 (The Institute of Electrical Engineers of Japan、IEEJ)の一組織である電気規格調査会(Japanese Electrotechnical Committee)が定めています。

JWWA

JWWA (Japan Water Works Assocation、公益社団法人 日本水道協会)、ジェイダブリューダブリューエーと読みます。

補足

今回ご紹介した規格のうち、以下の団体が制定する規格はISOへ加盟する団体でありその規格利用が国際的になされています。

  • 日本産業標準調査会 (JISC)
  • 米国国家規格協会 (ANSI)
  • 英国規格協会 (BS)
  • ドイツ工業規格 (DIN)

まとめ

本記事では、プラント設計で用いられる規格について解説しました!

ポイント

  • 海外プラントで用いられる規格はその成り立ちで分けると欧州系、米国系の2つに大別される
  • 欧州系の主な規格として、ISO, EN, BS, DIN, IECなどがある。
  • 米国系の主な規格として、ANSI, ASME, ASTM, IEEE, NEMA, AWWAなどがある。

正しい知識を身につけて、エンジニアとしてスキルアップしていきましょう!

とむ

40代 x 2児のパパ・サラリーマン | メーカーでプラント設計(10年以上) | プラント設計に関する情報のほか、仕事・日々の暮らしで役に立つ、実際に使って良かったガジェット・商品について情報発信中

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