配管の管端形状について知りたい!設計上注意することがあれば合わせてそれも知りたい!
こんなお悩みを解決します。
本記事で解決できること
- プラントで用いられる配管の管端形状がわかる
- 配管管端形状と継手の組み合わせについてわかる
- 設計する際に注意しておく内容についてわかる
プラント配管で用いられる配管管端の形状について紹介します。
基本的な内容と思われるかもしれませんが、大事な内容ですのでぜひ復習を兼ねてご参照頂ければと思います。
本記事を読んで、ぜひ今後のプラントエンジニアリングに活かしていただければ幸いです!!
配管の管端形状
大きく分けると次の4つです。
- プレーンエンド(Plain End, PE)
- スレデッドエンド(Threaded End, TE)
- ベベルドエンド(Beveled End, BE)
- スピゴットエンド(Spigot End)
4つ目のスピゴットエンドは特定の管種にしか用いられないため、あまり馴染みが無いかもしれません。順番に解説します。
プレーンエンド(Plain End, PE)
プレーンエンドとは管端部に何も加工をしていない、管長に対して90度に切断された管端形状を指します。
引用元:wermac.org
継手との差し込み溶接に用いる以外は、次に紹介するスレデッドエンドやベベルエンドのように管端を加工して接続に用いられます。
スレデッドエンド(Threaded End, TE)
スレデッドエンドは管端部がねじ山で切ってあって、ねじ込み接続可能なようにしている管端形状を指します。
引用元:wermac.org
80mm以下※の小径配管に用いられることが多いです。※あくまで一例です、プラントの設計思想に因ります。
ねじ山の規格はISO, ASME, JIS等で規定されたものとするのが通例です。
こちらについては改めて解説します。
ベベルドエンド(Beveled End, BE)
ベベルドエンドは管端部を斜めに加工した(開先と言います)管端形状を有する配管です。
配管同士の溶接、あるいは配管と継手の溶接における開先溶接に用いられます。
引用元:wermac.org
スピゴットエンド(Spigot End)
スピゴットエンドはスピゴットパイプというダクタイル鋳鉄管(Ductile Iron Pipe, DIPとも称されます)に主に用いられる管端形状です。
スピゴットパイプは片方がプレーンエンドのような形状をしていて、もう片一方はソケット形状(あるいはフランジ形状)をしています。
引用元:dutcotennant.com
1つの配管スピゴットを他の配管ソケットへ繋ぎ合わせて敷設していきます。以下に繋ぎ目の参考図を載せます。
引用元:expertsmind.com
各管端形状を纏めると、以下のような表となります。
管端形状 | 配管同士の接続 | 継手との接続 | 備考 |
---|---|---|---|
プレーンエンド(PE) | 不可(通常はTEあるいはBEへ加工) | 差し込み溶接 | |
スレデッドエンド(TE) | 不可(ねじ込み継手が必要) | ねじ込み接続 | |
ベベルドエンド(BE) | 可(配管同士を溶接) | 突合せ溶接 | |
スピゴットエンド | 可、但しソケットスピゴット配管のみ | 差し込み接続 | ダクタイル鋳鉄管で主に用いられる |
補足:スタブエンド(Stub End)
そのほか、○○エンドと呼ばれるもので、スタブエンドというものがあります。
こちらは配管の管端形状を示すものではなく、継手に分類されます。
以下の写真のように、管端部につばが取り付けられていて、融合型フランジ(ルーズフランジ)と合わせて用いられます。
引用元:ベンカン機工
継手については改めて解説します。
設計上の注意点
設計上の注意点としては、目的・用途に合わせて正しい管端形状を選択することが挙げられます。
例えば、各都市へ向けて送出されるような高圧ガス配管では漏れが許容されないため、ベベルドエンド・突合せ溶接が用いられます。
薬品系の配管では、薬品に耐性のあるPVC配管が用いられます。PVC配管はプレーンエンドで継手等との差し込み溶接が用いられます。
ダクタイル鋳鉄管・スピゴットエンドは圧力がかかると抜けてしまう可能性があるため、自然流下配管で用いられます。
まとめ
本記事では、プラントに用いられる配管の管端形状について解説しました。
ポイント
- 配管の管端形状はプレーンエンド(Plain End, PE)、スレデッドエンド(Threaded End, TE)、ベベルドエンド(Beveled End)の3つが基本。
- 上記のほか、ダクタイル鋳鉄管にはスピゴットエンド(Spigot End)という管端形状も用いられる。
- 目的・用途に合わせて適切な管端形状を選択する必要がある(が違うと接続できない、また、スレデッドエンドやスピゴットエンドは適用する場所に注意が必要。
正しい知識を身につけて、エンジニアとしてスキルアップしていきましょう!